粘膜下腫瘍 総論
2014.12.18 メディビトの知恵概要
・粘膜下腫瘍とは、「病変の主座が消化管粘膜下層以深に存在し、周辺粘膜と同様の粘膜で覆われ、半球状または球状に消化管内に突出した病変」の総称。
ポイント
・すべてのGIST(消化管間質腫瘍)は悪性度を有するとされ、診断ではいかにGISTを他の粘膜下腫瘍から鑑別するかが重要となる。
・悪性度については、組織学的に診断できない場合は大きさによる推測も有用(2㎝以上は精査へ)とされている。
診断
・上部消化管内視鏡にて、正常粘膜に覆われた隆起がみられ、胃壁外からの圧排が否定されればほぼ確定的。
・上部消化管内視鏡にて粘膜下腫瘍の大きさ、形態を評価し、生検にて上皮性腫瘍を除外する。2cm以上の粘膜下腫瘍ではCTなどによる精査が推奨される。
症状
・通常は無症候性
・腫瘍サイズが大きい場合は、通過障害や腹部腫瘤、、潰瘍を合併して出血症状を呈する場合がある。
検査
・上部消化管内視鏡
・CT検査
・超音波内視鏡
・生検
・血液検査
治療、処方例
【治療】
・腫瘍径、悪性所見、組織診等により総合的に判断を行う。
・2cm以上の大きさでは手術も検討する。
・切除不能のGISTには化学療法が適応となる。
禁忌
キーワード、ポイント
・粘膜下腫瘍とは、「病変の主座が消化管粘膜下層以深に存在し、周辺粘膜と同様の粘膜で覆われ、半球状または球状に消化管内に突出した病変」の総称。
・すべてのGIST(消化管間質腫瘍)は悪性度を有するとされ、診断ではいかにGISTを他の粘膜下腫瘍から鑑別するかが重要となる。
・悪性度については、組織学的に診断できない場合は大きさによる推測も有用(2㎝以上は精査へ)とされている。
○「日本癌治療学会 GIST診療ガイドライン」
http://www.jsco-cpg.jp/item/03/index.html
診療のすすめ方、考え方
・通常は無症候性であり、検診の上部消化管造影検査や上部消化管内視鏡検査で指摘されることが多い。
・まず、指摘された画像検査での腫瘍の大きさを確認する。以前から指摘されている病変の場合は、大きさや形態に変化がないかを確認する。
・腫瘍サイズが大きい場合は、通過障害や腹部腫瘤として自覚症状を呈する場合がある。また、潰瘍を合併する粘膜下腫瘍は、貧血や出血症状を呈する場合があるため、以下の身体所見の有無がないことを確認する。
①通過障害:つかえ感、嘔気・嘔吐、食思不振、体重減少の有無の聴取
②腹部腫瘤:腹部視診・触診(腹部膨満感)
③潰瘍を合併:貧血(眼瞼結膜の貧血の有無、血圧・脈拍の測定)、出血症状(直腸診にてタール便の有無)
・胃粘膜下腫瘍は悪性度診断が重要である。
診断
・上部消化管内視鏡にて、正常粘膜に覆われた隆起がみられ、胃壁外からの圧排が否定されればほぼ確定的。
・内視鏡時に、深呼吸時や被験者の体位変換により隆起部と粘膜に明らかなズレが生じる場合は、胃壁外からの圧排所見である可能性が高い。
・さらに、超音波内視鏡やCTにて粘膜下腫瘍の所見がなく、隣接臓器からの圧排が示唆される場合は、粘膜下腫瘍は除外される。
・上部消化管内視鏡にて粘膜下腫瘍の大きさ、形態を評価し、生検にて上皮性腫瘍を除外する。2cm以上の粘膜下腫瘍ではCTなどによる精査が推奨される。
・腫瘍の大きさは治療方針を決める重要な因子であり、必ずメジャーにて測定を行う。
「パリエット 消化器基本画像集」より引用
症状
・通常は無症候性
・腹部不快感や心窩部痛
・悪性の場合、腫瘍が崩れて出血し、吐血や下血を生じる
検査
・上部消化管内視鏡
・CT検査
・超音波内視鏡
・生検
・血液検査
鑑別診断
・粘膜下腫瘍様形態を呈する胃癌やカルチノイド、悪性リンパ腫などは生検によって確定診断がつくので、内視鏡の際は必ず生検を行う。
・GISTを含めたその他の粘膜下腫瘍は通常の生検では診断はつきにくい。
・腫瘍径2cm以上の腫瘍では各種画像診断による精査が必要である。
治療、処方例
「日本本癌治療学会 GIST診療ガイドライン 診療アルゴリズム」より引用
【治療】
1、腫瘍の切除
①2cm以上5cm以下の悪性所見のある腫瘍
②5.1cm以上の腫瘍
③有症状または生検でGISTが証明された場合
2、相対的治療
①悪性所見のある2cm未満の腫瘍
② 2cm以上5cm以下の悪性所見のない腫瘍
3、その他
・生検やEUS-FNAB(超音波内視鏡ガイド下吸引生検)でGIST以外の腫瘍と診断されれば、それぞれの治療を行う。
・初診時に転移を有する切除不能GISTで、腫瘍組織染色によりKIT陽性が確認された場合には、抗がん剤による化学療法を行う。
4、5cm以下で臨床的に悪性所見のない場合
・1~2回/年の内視鏡検査を行う。
禁忌
患者指導
専門医に紹介
・臨床的および組織学的にGISTが疑われるが、免疫染色にてKIT、CD34、desmin、S-100蛋白いずれも陰性であった場合
・フォローアップ中に腫瘍が増大傾向を示した場合や悪性所見が顕在化してきた場合
・明らかな悪性所見はないものの腫瘍が増大傾向にあるなど、EUS-FNABの施行が望ましいが自施設で実施できない場合