キーワード、ポイント

・症状の原因となる器質的・全身性・代謝性疾患を認めないにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの腹部症状を呈する病態。

診療のすすめ方、考え方

・器質的疾患などの否定を行うことが診断の前提となる。

【原因】

胃の運動機能障害、消化管の知覚過敏、心理・社会的因子、胃酸、ピロリ菌感染など

診断

症状

・胃もたれや痛みなど胃腸の不快　

検査

・内視鏡検査、X線検査、超音波検査、血液検査などにより原因となりうる疾患の有無を確認する。

・内視鏡検査

・X線検査

・超音波検査

・血液検査

・尿検査

鑑別診断

治療、処方例

【治療】
・対症療法が中心となる。
・症状に応じた薬物治療を行う。
　①初期：酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬など
　　酸分泌抑制薬（保険適用外）
　　　パリエットⓇ (10㎎)(ラベプラゾール)　1回1錠、1日1回朝食前
　　消化管運動機能改善薬（保険適用外）
　　　ガスモチンⓇ (5㎎)(モサプリド)　1回1錠、1日3回毎食前
　②二次：抗うつ薬、抗不安薬、漢方薬が有効なこともある。
　　抗不安薬（保険適用外）
　　　セディールⓇ (10㎎)(タンドスピロン)　1回1錠、1日3回毎食後
　　漢方薬（保険適用外）
　　　六君子湯　1回2.5g　1日3回毎食前
・ピロリ菌陽性の場合は、除菌治療を行う。
・認知行動療法

禁忌

患者指導

・食生活、生活習慣の改善

・器質的疾患を否定できたうえで、安心してもらえるよう心理的サポートを行う。

・症状に合わせすぎて薬剤数が増えないように注意する。

・ドクターショッピングを行わないように指導する。

　「命にかかわる疾患が検査でなかったので、安心しましたね。」

　「胃腸の働きや感度には個人差があり、病気ではなく体質という部分もあります。」

　「薬が増えやすいので注意しましょう。」

　などの説明と方向付けを行う。　

専門医に紹介

・抗うつ薬、向精神薬などの使用が増えた場合