薬剤性腸炎 総論
2014.12.18 メディビトの知恵概要
ポイント
・薬剤投与に関連して発症する腸炎である。
・最も頻度が高いのは抗菌薬によるものである。
ほかに、抗腫瘍薬、金製剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、経口避妊薬など
・薬剤投与後に下痢がみられたら、まず本疾患を疑う。
【分類】
①偽膜性腸炎
②出血性腸炎
診断
①偽膜性腸炎
・便中のディフィシル菌毒素の検出や培養検査(嫌気培養)を行う。
・内視鏡検査により、直腸下端からS状結腸にかけての大腸粘膜に特徴的な黄白色調の半球状に隆起した偽膜がみらる。
②出血性大腸炎
・内視鏡検査により、主に深部大腸(横行結腸が好発部位)にびまん性の粘膜の発赤と出血がみられ、潰瘍がみられることもある。
症状
・腹痛
・下痢や下血など
検査
・内視鏡検査
・検便
「パリエット 消化器基本画像集」より引用
治療、処方例
【治療】
①偽膜性腸炎
・可能な限り薬剤を中止する。
・フラジールやバンコマイシンを経口投与する。
②出血性腸炎
・薬剤を中止すれば、ほとんど自然軽快する。
禁忌
キーワード、ポイント
・薬剤投与に関連して発症する腸炎である。
・最も頻度が高いのは抗菌薬によるものである。
ほかに、抗腫瘍薬、金製剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、経口避妊薬など
診療のすすめ方、考え方
・薬物投与による大腸細菌叢の変化が原因とされている。
・薬剤投与後に下痢がみられたら、まず本疾患を疑う。
【分類】
①偽膜性腸炎
・セフェム系、多剤併用、非経口薬、長期投与、重篤な疾患を有するもの、手術後、高齢者に多く発症する。
②出血性腸炎
・びまん出血型:合成ペニシリン、若年者に多い。
・アフタ型:セフェム系、高齢者に多い。
・共通:単剤・経口剤、感冒など軽症の患者に多く、やや女性に多い。
診断
①偽膜性腸炎
・便中のディフィシル菌毒素の検出や便の培養検査(嫌気培養)を行う。
・内視鏡検査により、直腸下端からS状結腸にかけての大腸粘膜に特徴的な黄白色調の半球状に隆起した偽膜がみられ、重症の場合には全大腸に及ぶこともある。
②出血性大腸炎
・内視鏡検査により、主に深部大腸(横行結腸が好発部位)にびまん性の粘膜の発赤と出血がみられ、潰瘍がみられることもある。
症状
・腹痛
・下痢や下血など
検査
・内視鏡検査
・検便
「パリエット 消化器基本画像集」より引用
鑑別診断
①偽膜性腸炎:潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、感染性腸炎
②出血性腸炎:腸管出血性大腸菌腸炎、感染症腸炎
治療、処方例
【治療】
①偽膜性腸炎
・可能な限り薬剤を中止する。
・薬剤を中止できない例や重篤例には、有効な薬剤を投与する。
②出血性腸炎
・薬剤を中止すれば、ほとんどが自然軽快する。
【処方例】
①偽膜性腸炎
・フラジールⓇ(メトロニダゾール) 0.75~1.5g 分3~4/10~14日間
安価であり第一選択
・バンコマイシン 1.5~2.0g 分3~4/10~14日間