虫垂炎 総論
2014.12.18 メディビトの知恵概要
ポイント
・糞石などの閉塞起点の存在が原因となることが多い。
・自発痛は心窩部であっても、圧痛は右下腹部に認める。
・初期に嘔気や心窩部痛で出現し、その後右下腹部へ圧痛点が移動するという経過が典型的。
診断
【腹部触診】
圧痛点、筋性防御、Rosenstein徴候、Rovsing徴候、反跳痛(Blumberg徴候)、直腸指診、踵落とし試験など
症状
・腹痛:初期は心窩部痛から発症し、やがて右下腹部に痛みが移行し限局する。
・食欲不振、吐き気、嘔吐
・発熱
検査
・血液検査:白血球の上昇を認める。CRPの上昇は軽度のことが多い。
・X線検査:炎症による右腸腰筋の不明瞭化、右下腹部の腸管麻痺像などを認める。
・超音波検査、CT検査:虫垂腫大や膿瘍形成、糞石などが認められる。(診断だけでなく、他の疾患の除外診断にも有用)
「遠隔画像診断.jp」より引用
○鑑別診断
・初期症状:胃・十二指腸疾患、膵・胆道疾患
・右下腹部痛をきたす消化器疾患:結腸憩室炎、急性腸炎、クローン病、腸間膜リンパ節炎、大腸癌、腸閉塞など
・泌尿器疾患:尿管結石、腎盂腎炎など
・女性の場合:子宮外妊娠、付属器炎、卵巣出血、卵巣茎捻転、骨盤腹膜炎
治療、処方例
【治療】
・カタル性虫垂炎では抗生剤を使用することで、軽快することも多い。
・穿孔や壊死などが生じている場合には、開腹手術が基本となる。
禁忌
キーワード、ポイント
・急性虫垂炎は虫垂の化膿性炎症で、10歳代から20歳代に最も多く見られる腹部の急性疾患である。
「まつもと医療センター 松本病院 外科 虫垂炎 年代別症例数
http://mmcmatsu.jp/sinryoka/geka01.php」より引用
・糞石などの閉塞起点の存在が原因となることが多い。
診療のすすめ方、考え方
・自発痛は心窩部であっても、圧痛は右下腹部に認める。
・初期に嘔気や心窩部痛で出現し、その後右下腹部へ圧痛点が移動するという経過が典型的。
・虫垂炎は非典型的エピソードが多いので、腹部症状を訴える患者では常に鑑別診断として残しておくことが大切。
診断
【腹部触診】
①圧痛点
McBurney点: 臍と右前腸骨棘を結ぶ外側1/3の点、虫垂根部の位置
Lanz点:左右上前腸骨棘を結ぶ線上右側1/3の点、虫垂先端が内下方に向かう点
Kummel点:臍より右下方1~2cmの点
②筋性防御:疼痛部の筋肉が硬く触知される。板状硬とも表現される。
③Rosenstein徴候:左下側臥位にて、McBurney点を圧迫すると、仰臥位よりも圧痛が増強する。
④Rovsing徴候:仰臥位で下行結腸を下部より上方に押し上げるように手掌で圧迫する。左腹部の圧迫により、右下腹部痛が増強する。
⑤反跳痛(Blumberg徴候):圧痛部を圧迫したときより、急に圧迫を解除したときの疼痛がより強く出る。
⑥直腸指診:直腸右壁に圧痛があれば、小骨盤内への炎症が考えられる。
⑦踵落とし試験:つま先立ちとなり、勢いよく踵を落とすと疼痛の増悪が見られる。
症状
・腹痛:初期は心窩部痛から発症し、やがて右下腹部に痛みが移行し限局する。
・食欲不振、吐き気、嘔吐
・発熱
・壊疽性虫垂炎では、歩行障害を見ることがある。
・便秘もしくは下痢を伴うことがある。
検査
・血液検査:白血球の上昇を認める。CRPの上昇は軽度のことが多い。
・X線検査:炎症による右腸腰筋の不明瞭化、右下腹部の腸管麻痺像などを認める。
・超音波検査、CT検査:虫垂腫大や膿瘍形成、糞石などが認められる。(診断だけでなく、他の疾患の除外診断にも有用)
「遠隔画像診断.jp」より引用
鑑別診断
・初期症状:胃・十二指腸疾患、膵・胆道疾患
・右下腹部痛をきたす消化器疾患:結腸憩室炎、急性腸炎、クローン病、腸間膜リンパ節炎、大腸癌、腸閉塞など
・泌尿器疾患:尿管結石、腎盂腎炎など
・女性の場合:子宮外妊娠、付属器炎、卵巣出血、卵巣茎捻転、骨盤腹膜炎
治療、処方例
【治療】
・抗生剤を使用することで、手術の必要がなくなる場合も多く、患者の負担を軽減できる。
・穿孔や壊死などが生じている場合には、開腹手術が基本となる。
①抗生剤の投与
・カタル性虫垂炎の場合には、、軽快することが多い。
・抗生剤での治療は、一時的に軽快しても30%を超える再発がある。
・軽快を認めない場合は、虫垂切除が必要となる。
②虫垂の切除
・抗生物質 グラム陰性桿菌と嫌気性菌をターゲット
例)
・オーグメンチンⓇ(アモキシシリン/クラブラン酸)250㎎1回1錠、1日3~4回
・シプロキサンⓇ(シプロフロキサシン)1回100~200mgを1日2~3回
+フラジールⓇ(メトロニダゾール)1回250mgを1日4回又は1回500mgを1日3回
・ユナシン-S注Ⓡ 1回3g 1日2~4回点滴
・セフメタゾンⓇ(セフメタゾール)1回1g 1日2~4回点滴
禁忌
患者指導
専門医に紹介
・小児の場合は小児外科専門医を紹介する。