アカラシア 総論
2014.12.18 メディビトの知恵概要
・下部食道括約筋部(LES)の機能が障害された疾患。
・嚥下、食道内拡張に伴うLESの弛緩不全と食道体部の蠕動障害により、食物、唾液の食道からの胃への通過障害を来たす。
ポイント
・冷たい流動物での嚥下障害が特徴。
診断
・X線検査で造影剤の通過障害を認める。
・食道癌の合併頻度が高い。
症状
・食道内のつかえ感
・食道からの逆流
検査
・食道X線造影検査
・上部消化管内視鏡検査
・食道内圧検査
治療、処方例
・薬物療法:Ca拮抗薬や硝酸薬(保険適用外)
舌下投与は急激な血圧の低下を起こす可能性があるため、禁忌。
・バルーン拡張療法
・外科的手術
禁忌
キーワード、ポイント
・下部食道括約筋部(LES)の機能が障害された疾患である。
・嚥下、食道内拡張に伴うLESの弛緩不全と食道体部の蠕動障害により、食物、唾液の食道からの胃への通過障害を来たす。
・性差はなく、幅広い年齢層で発症する。
診療のすすめ方、考え方
・逆流性食道炎でみられる胃酸の逆流とは異なり、胃酸の混在はないため逆流液に酸味はない。
・冷たい流動物での嚥下障害が特徴。
診断
・X線検査で拡張した食道、下部食道のスムーズな狭窄、残渣の貯留、造影剤の通過障害などを認める。
・食道癌の合併頻度が高いため、内視鏡検査にて食道壁に腫瘍がないことを確認する。
・食道内圧検査で食道壁に蠕動運動があるか確認する。
・早期のアカラシアでは、つかえ感があるものの、造影検査、内視鏡検査で所見が軽微な場合には、診断がつかず経過観察となる場合があるが、内圧検査により診断される。
症状
・嚥下障害
・食道内のつかえ感
・食道からの逆流
・食道内から口腔内への逆流による咳嗽
・胸痛
検査
【拡張度分類】
・I度:食道の横径から3.5cm未満
・ II 度:3.5cm以上6.0cm未満
・III度:6.0cm以上
【拡張型分類】(アカラシア取扱い規約 第4版 2012年6月 新しい分類)
・直線型(St型)
・シグモイド型(Sg型)
・進行シグモイド型(aSg型)
・食道X線造影検査
①食道の拡張、蛇行
②食物残渣やバリウムの食道内停滞
③食道胃接合部の平滑な狭小像(Bird beak sign)
④胃泡の消失あるいは減少
⑤食道の異常運動の出現
・上部消化管内視鏡検査
①食道内腔の拡張
②食物残渣や液体の貯留
③食道粘膜の白色化・肥厚
④食道胃接合部の機能的狭窄(送気では開大しないが、内視鏡は通過する。胃内反転による巻きつき、めくれ込みを生じる)
⑤食道の異常収縮波の出現
・食道内圧検査
①下部食道括約部の嚥下性弛緩不全
②一次蠕動波の消失
③食道内静止圧の上昇(胃内圧より高い)
④下部食道括約部圧の出現
⑤同期生収縮波の出現
鑑別診断
・噴門部の悪性腫瘍
治療、処方例
【治療】
・薬物療法:平滑筋の緊張を和らげる作用を持つCa拮抗薬や硝酸薬を投与する。ただし、保険適用外であるので注意する。また舌下投与は急激な血圧の低下を起こす可能性があるため、禁忌。
・バルーン拡張療法:バルーン拡張術により狭窄部を拡張する方法で、早期では有効である。
・狭窄が強い場合やバルーン拡張術が効果のない場合は、外科的治療を行う。
禁忌
・硝酸薬やCa拮抗薬の舌下投与は急激な血圧の低下を起こす可能性があるため、禁忌。