腸間膜静脈血栓症 総論
2014.12.18 メディビトの知恵概要
・腸間膜静脈の血栓閉塞による壊死性疾患である。
ポイント
・血液凝固能の亢進、血流低下、炎症性腸炎、外傷、エストロゲン服用などが原因となる。
診断
症状
・腹痛、嘔気・嘔吐、下痢、下血など
検査
画像 http://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5665
・腹部造影CT検査
・血管造影検査
・血液検査
炎症所見の上昇とCPK・LDHの上昇やアシドーシス
凝固:PT・APTT時間の短縮または活性の亢進
血栓:Dダイマー上昇、抗リン脂質抗体の有無
プロテインC、プロテインS、アンチトロンビンの欠損
治療、処方例
【治療】
・原因となる基礎疾患の対処
・抗凝固療法
・腸管壊死が存在する場合は腸管切除を行う。
【処方例】
①抗凝固剤
・ワーファリンⓇ(ワルファンカリウム)
②新抗凝固剤
肝機能や腎機能の低下がある場合は使用注意。妊娠中は禁忌。
・イグザレルトⓇ(リバーロキサバン)
・リクシアナⓇ(エドキサバン)
・エリキュースⓇ(アピキサバン)
○専門医に紹介
・腸管壊死を疑う場合はすみやかに外科医にコンサルト。
禁忌
キーワード、ポイント
・腸間膜静脈の血栓閉塞による壊死性疾患である。
・血液凝固能の亢進、血流低下、炎症性腸炎、外傷、エストロゲン服用などが原因となる。
診療のすすめ方、考え方
・原因が明らかでない腹痛、急性腹症や遷延する腸閉塞症状があるときには、虚血性腸管障害を疑う。
診断
症状
・腹痛、嘔気・嘔吐、下痢、下血など
検査
画像 http://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5665
・腹部造影CT検査:静脈相で腸管壁・腸間膜の浮腫様肥厚や造影不良、血栓部より末梢の静脈拡張像を認める。
・血管造影検査:動脈相の延長、腸管壁への造影剤の停滞、静脈相の欠如、静脈内血栓像。
・血液検査
炎症所見の上昇とCPK・LDHの上昇やアシドーシス
凝固:PT・APTT時間の短縮または活性の亢進
血栓:Dダイマー上昇、抗リン脂質抗体の有無
プロテインC、プロテインS、アンチトロンビンの欠損
鑑別診断
治療、処方例
【治療】
・原因となる基礎疾患の対処
・抗凝固療法は有効で、凝固亢進状態にある例では長期の投与を必要とする。
・腸管壊死が存在する場合は腸管切除を行う。
【処方例】
①抗凝固剤
・ワーファリンⓇ(ワルファンカリウム)
ワーファリンは0.6%/年の脳出血の危険性があることを説明
もちろん他の出血のリスクもあるので上下部内視鏡、尿潜血等などを確認する。
PT-INRを1.5-2.5で投与量を調整する
脳出血は初期6か月間に多いのでゆっくりと導入する
・ローディングはせずに1.0~2.0㎎/日から開始する
・1-2週毎の採血で1.5以下なら0.5㎎~1.0㎎ずつ増量
・維持期は一か月毎の採血で2.6を超えたらすぐに0.5㎎減量
1.6以下が二回続いたら0.5㎎増量
②新抗凝固剤
肝機能や腎機能の低下がある場合は使用注意。妊娠中は禁忌。
・イグザレルトⓇ(リバーロキサバン)
成人:深部静脈血栓症発症後の初期3週間 15mg 1日2回食後 経口服用
その後、 15mg 1日1回食後 経口服用
・リクシアナⓇ(エドキサバン)
成人:体重60kg以下:30mg 1日1回 経口服用
体重60kg超:60mg 1日1回 経口服用
(腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量)
・エリキュースⓇ(アピキサバン)
成人:1回5mg 1日2回 経口服用
年齢、体重、腎機能に応じて、1回2.5mg 1日2回服用へ減量する。
次の基準2つ以上該当する場合:80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5mg/dL以上
出血リスク高、本剤の血中濃度上昇のおそれがあるため、1回2.5mg 1日2回経口服用。
【参考】
○「日本血栓止血学会
静脈血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン(16年度参照)」
http://www.jsth.org/guideline/
禁忌
患者指導
専門医に紹介
・腸管壊死を疑う場合はすみやかに外科医にコンサルト。