蜂窩織炎 総論
2014.11.27 メディビトの知恵キーワード、ポイント
・黄色ブドウ球菌やA群β溶連菌が感染して炎症を起こす。
・下肢に好発
・真皮深層〜皮下脂肪組織が急性膿性炎症を起こす。
・境界は不明瞭で急速に拡大する。
・拍動性疼痛があり、壊死性筋膜炎や敗血症に移行することもある。
診療のすすめ方、考え方
・重症度は低く、治癒する病気ではあるが、壊死性筋膜炎との鑑別は必ず行うこと。
診断
・皮膚所見で診断(表面はオレンジの皮に似た外観)
(メルクマニュアル医療版「蜂巣炎」http://merckmanual.jp/mmpej/sec10/ch119/ch119b.html より引用」)
症状
・境界不明瞭な局所の発赤・膨張・熱感・浮腫
・拍動性疼痛
検査
鑑別診断
・壊死性筋膜炎との鑑別→急速進行性、敗血症のサイン(バイタルサインの異常)、外観以上の疼痛と皮膚発赤を越える範囲の疼痛
・丹毒との鑑別
(日本感染症学会「MRSA感染症の治療ガイドライン 2014改訂版」http://www.kansensho.or.jp/guidelines/pdf/guideline_mrsa_2014.pdf より引用作成)
・深部静脈血栓症との鑑別
(メルクマニュアル医療版「蜂巣炎」より引用作成)
治療、処方例
【治療】
・セフェム系やペニシリン系の抗菌薬の投与と創部の処置
・壊死組織や膿瘍を形成したら、切開排膿と壊死組織除去
【処方例】
・ケフレックスカプセル®(セファレキシン) [250mg] 6錠 分3(6時間ごと)
・軽症でペニシリンアレルギーがないなら、
オーグメンチン配合錠®(アモキシシリン・クラブラン酸) [250mg] 3錠 分3(8時間ごと)と
サワシリン錠®(アモキシシリン) [250mg] 3錠 分3(8時間ごと)
・重度のペニシリンアレルギー、βラクタムアレルギーなら、
ダラシンカプセル®(クリンダマイシン) [150mg] 6錠 分3(8時間ごと)など
・重症例なら、セファメジンα注射用®(セファゾリン) [1g] 1回2g 1日3回 8時間ごと 保険適用外
禁忌
・ダラシンカプセル®:LCM過敏症
・セファメジンα注射用®:アニリド系局麻薬過敏症
患者指導
・感染部分は、できるだけ動かさないで高い位置に保つ。(腫れの軽減)
・冷たく濡らしたタオルや包帯をあてる(不快感の軽減)
専門医に紹介
・壊死性筋膜炎が疑われるときは外科的処置(生検やデブリードメント)が必要
→検体のグラム染色を行い、起因菌を判定して外科へ
学会、研究会
ガイドライン
日本感染症学会「MRSA感染症の治療ガイドライン 2014改訂版」
( http://www.kansensho.or.jp/guidelines/pdf/guideline_mrsa_2014.pdf )
患者会
ホームページ
メルクマニュアル医療版「蜂巣炎」( http://merckmanual.jp/mmpej/sec10/ch119/ch119b.html )
メーリングリスト
参考文献
参考図書
MEDIC MEDIA「病気がみえる vol.6 免疫・膠原病・感染症」