MRSA 総論
2016.04.20 メディビトの知恵キーワード、ポイント
・メチシリンをはじめとするすべてのβ-ラクタム薬やその他の抗菌薬に耐性となった黄色ブドウ球菌
・院内感染の原因
・エンテロトキシンやToxic Shock Syndrome Toxin-1などの毒素を産生し、食中毒やToxic Shock症候群(TSS)などを引き起こす可能性がある。
診療のすすめ方、考え方
・MRSAによる感染症の疑いありの場合は速やかに抗MRSA薬による治療を開始する。
診断
・黄色ブドウ球菌でメチシリン耐性を確認すれば確定
・喀痰、尿、便培養でMRSAを検出した場合の診断はコンタミネーションである可能性も考え、感染か否かの評価を慎重にする。
症状
合併症として、敗血症、肺炎、骨髄炎、皮膚軟部組織感染、感染性心内膜炎
検査
・薬剤感受性試験
・耐性遺伝子をPCR法で検出
鑑別診断
治療、処方例
【治療】
・一般的な治療薬は以下の7つ
第一選択はバンコマイシン
他 テイコプラニン、アルベカシン、リネゾリド、ダプトマイシン、ST合剤、ミノサイクリン
【処方例】
・塩酸バンコマイシン点滴静注用®(バンコマイシン)[0.5g]1回15㎎/kg(実体重)を12時間毎に静注
1gあたり1時間以上かけて静注すること。トラフ濃度は10μg/mLを超えるように調整する。
※重症例では副作用に注意しつつ15~20μg/mLに調整する
※乳児・小児の場合 1日40㎎/kg 分2〜4 60分以上かけて静注
※新生児の場合 1日40㎎/kg 1回10〜15㎎/kgを生後1週まで8時間毎、生後1ヶ月まで8時間毎 60分以上かけて静注
禁忌
患者指導
専門医に紹介
・壊死性軟部組織感染症
・抗菌薬治療を行ったうえでの持続的な菌血症
・バンコマイシンに対する治療抵抗性症例
・MRSA感染症を繰り返す場合
・長期間の抑制療法の必要性を考慮する場合