糖尿病性昏睡 総論
2014.12.18 メディビトの知恵概要
ポイント
・発症することは多くはないが、すぐに対処しないと死亡する可能性がある危険な合併症。
・インスリンの極端な欠乏が原因。
・機序によって糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、高血糖性高浸透圧状態(HHS、非ケトン性高浸透圧性昏睡、HONK)に分類される。
・体調不良によって平常通りに服薬できなかった場合などに特に起こりやすい。
診断
症状
意識障害、脱水
検査
血液検査、血液ガス、尿検査
並行して、感染症(気管支肺炎、尿路感染症)や虚血性心疾患の合併の有無を確認する。
治療、処方例
・治療開始時点では、血糖値、電解質(Na、K、Cl)を1時間ごとに、安定するまで経時的に測定。
・生理食塩水を中心とした十分な輸液
・アルコール性ケトアシドーシスが合併している場合はチアミン(ビタミンB1 100㎎)を静脈投与。
・インスリンの点滴静注を行いつつ、カリウムの補充も怠らないことが必要。
・点滴量は心不全、腎不全の有無などで調整する必要がある
・経口が可能になり次第、皮下インスリン注射に変更する。
禁忌
キーワード、ポイント
・インスリンが不足しすぎることで起こる症状。
・発症することは多くはないが、すぐに対処しないと最悪の事態になる可能性がある危険な合併症。
・インスリン拮抗ホルモン(グルカゴン、コルチゾール、アドレナリンなど)の増加。
・高血糖、高ケトン血症、アシドーシスを来した状態。
・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)。
・機序によって糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、高血糖性高浸透圧状態(HHS、非ケトン性高浸透圧性昏睡、HONK)に分類される。
診療のすすめ方、考え方
・生理食塩水を中心とした十分な輸液とインスリンの点滴静注を行いつつ、カリウムの補充も怠らないことが必要。
・点滴量は心不全、腎不全の有無などで調整する必要がある。
・心肺機能に問題がないと判断した場合はDKA、高浸透圧非ケトン性昏睡(HONC)では1L/時より始める。
・初期輸液は脱水の是正のため生理食塩水にて治療を開始し、血糖値≦250mg/dlになった時点で、5~10%グルコース液に変更。
・0.1U/kg/時のインスリンを持続静注することで、75~100mg/dl/時の速度で血糖は低下する。
・意識障害があり、重症のアシドーシス (pH <7.0)を認める患者
アシドーシスの補正のために重炭酸塩を(メイロン®40mlを注射用蒸留水160mlに混和して1時間で点滴)投与することを考慮してもよい。
・インスリンの投与により血清カリウムが低下するため、血清カリウムが4.5mEq/l以下であれば生理食塩水500mlにKCL®20mEqを混和して1~2時間で点滴を行う。
・経口が可能になり次第、皮下インスリンに変更する。体重あたり、0.5~0.8単位の合計から、(超)速効型インスリン 約1/5分を各食前に 就寝時に持効型インスリ ンアナログ製剤約2/5分を投与することで調節。
例:体重60kgであれば、体重あたり0.5単位(30単位)を、各食前に(超)速効型インスリン6単位、持効型インスリンアナログ製剤(ランタス®ないしはレベミル®)を就寝時に12単位より調節。
診断
症状
・合併症。一時的に著しい高血糖になることによって昏睡状態となる。
・体調不良によって平常通りに服薬できなかった場合などに特に起こりやすい。
検査
・血液測定
・生化学3種類(Na,k,Cl)
・P
・肝機能(T-Bil、AST、ALT、y-GTP)
・Alb
・CRP
・HbA1c
・尿一般
・尿沈渣
・ケトン体
・尿中ケトン体
・血清浸透圧
・血清ケトン体 分画
・抗GAD抗体
・C-Peptide
・TSH[ECLIA]
・AMY
・血液ガス
・胸部12誘導心電図
・Ⅹ線 胸部 正面
・高血糖(血糖値≧250mg/dl)、尿ケトン体陽性、動脈血ガス分析でアシドーシス(pH≦7.30、重炭酸塩濃度<18mEq/l)が確認されれば、DKAとして治療を開始する。
・並行して、感染症(気管支肺炎、尿路感染症)や虚血性心疾患の合併の有無を確認する。
鑑別診断
・高血糖(血糖値≧250mg/dl)
・尿ケトン体陽性、動脈血ガス分析でアシドーシス(pH≦7.30、重炭酸塩濃度<18mEq/l)
以上が確認されれば、DKAとして治療を開始する。
・並行して、感染症(気管支肺炎、尿路感染症)や虚血性心疾患の合併の有無を確認する。
・アルコール性ケトアシドーシスが合併している場合はチアミンの投与を行う。
・鑑別が必要な疾患として、著しい高血糖(≧600mg/dl)であっても、血清浸透圧が高く(≧320mOsm/l)アシドーシスを認めない場合(pH>7.30、HCO3>18~20mEq/l)、高浸透圧高血糖症候群(HHS)と診断する。
・アルコール性ケトアシドーシス
・飢餓性ケトアシドーシス
・乳酸アシドーシス
・尿毒症性アシドーシス
・サリチル酸毒性メタノール、エチレングリコールまたはアスピリンの摂取(エチレングリコール/メタノール/アスピリン中毒)
・2型(近位)尿細管性アシドーシス(RTA)
治療、処方例
・治療開始時点では、血糖値、電解質(Na、K、Cl)を1時間ごとに、安定するまで経時的に測定。
・十分な経口摂取が可能となった時点で、インスリンの持続点滴を中止。
・持効型インスリンアナログ製剤と速効型インスリン(超速効型インスリンアナログ製剤)の頻回注射に移行。
・生理食塩水を中心とした十分な輸液
・インスリンの点滴静注を行いつつ、カリウムの補充も怠らないことが必要。
・点滴量は心不全、腎不全の有無などで調整する必要がある
・心肺機能に問題がないと判断した場合はDKA、高浸透圧非ケトン性昏睡(HONC)では1L/時より始める。
・初期輸液は脱水の是正のため生理食塩水にて治療を開始
・血糖値≦250mg/dlになった時点で、5~10%グルコース液に変更。
・0.1U/kg/時のインスリンを持続静注することで、75~100mg/dl/時の速度で血糖は低下する。。
・意識障害があり、重症のアシドーシス (pH <7.0)を認める患者
アシドーシスの補正のために重炭酸塩を(メイロン®40mlを注射用蒸留水160mlに混和して1時間で点滴)投与することを考慮してもよい。
・インスリンの投与により血清カリウムが低下するため、血清カリウムが4.5mEq/l以下であれば生理食塩水500mlにKCL®20mEqを混和して1~2時間で点滴を行う。
・経口が可能になり次第、皮下インスリンに変更する。
・体重あたり、0.5~0.8単位の合計から、
各食前に(超)速効型インスリン 約1/5分。
就寝時に持効型インスリンアナログ製剤約2/5分を投与し調節。
例)体重60kgであれば、体重あたり0.5単位(30単位)を、各食前に(超)速効型インスリン6単位、持効型インスリンアナログ製剤(ランタス®ないしはレベミル®)を就寝時に12単位より調節。
・アルコール性ケトアシドーシスが合併している場合はチアミンを投与。
禁忌
患者指導
入院治療が原則。
専門医に紹介
・基本的に、専門医により継続的に治療をすることが望ましい。
・急性期を越えた患者は糖尿病専門医に相談。