信州大学医学部 脳神経外科 監修
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どんな病気
てんかん(癲癇)とは脳の病気で、年齢、性別に関係なく発症しますが、特に小児と高齢者で発症率が高いといわれています。
脳の神経細胞に激しい電気的な刺激が生じることにより、発作的なけいれんや意識障害などのてんかん発作が起きます。
原因
脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。
症状
てんかん発作がおこります。
全般発作
発作のはじめから脳全体が異常な電気信号に巻き込まれるもので、意識が最初からなくなるという特徴があります。
強直間代発作(きょうちょくかんたいほっさ) |
突然意識を失い、全身を硬直させ(強直発作)、直後にガクガクと全身がけいれんする(間代発作) |
単純欠神発作(たんじゅんけっしんほっさ) |
突然、数秒から数十秒の意識をなくし、すぐに回復する |
複雑欠神発作(ふくざつけっしんほっさ) |
意識障害に加えて、他の症状(自動症、ミオクロニー発作など)を伴う ・自動症:手足や口をもそもそと動かす ・ミオクロニー発作:体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動く |
点頭発作(てんとうほっさ) |
頭を前に倒し、両手を振り上げ、胴体を曲げるという形をとる |
脱力発作(だつりょくほっさ) |
突然体の力が抜けバタンと倒れる |
部分発作
脳のある一部分から始まる発作です。
・後頭葉の視覚野で起これば、光がチカチカ見える
・手の領域の運動野で起これば、手がピクピク動く
・側頭葉で起これば、前胸部不快感や既視感など
検査
脳波検査
脳波を記録して、異常なてんかん波を検査します。
起きている時と睡眠時の両方を検査しますが、特に睡眠時はてんかん波が最も出現しやすいので重要です。
MRI検査、CT検査
脳の中に脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、脳挫傷などがないか検査します。
血液検査
血液中のナトリウムやカルシウムが減少すると、けいれんが起きやすくなります。
また、てんかんの薬物治療は長期間にわたり薬を飲み続ける必要があるので、定期的に肝臓や腎臓、薬物の血中濃度を測定します。
治療
薬物療法
抗てんかん薬などの薬剤による治療が中心となります。発作のタイプによって使われる薬が異なります。抗てんかん薬は、脳の神経細胞の電気的興奮を抑えたり、興奮が他の神経細胞に伝わっていかないようにすることで発作の症状を抑えます。
手術療法
薬物療法だけでは発作がコントロールされない時に外科手術による治療が検討されます。
ホームドクターからのアドバイス
診察には、発作時の介助者・目撃者と一緒に受診しましょう
発作が始まると意識が障害されることが多く、自分で発作の状態や状況を話すことができません。また、病院に受診する時点ではほとんどの場合、発作がすでに止まっているため医師に介助者が発作時の様子を説明することが大切です。
【てんかん発作観察のポイント】
・発作が起きた状況、何をしている時だったか
・発作の持続時間
・意識は保たれていたか
・震えは左右どちらから始まったか
・突っ張った姿勢なのか、両手足がガクガクしていたのか
・歩きまわったり、舌をナメるような、普段はしない異常な行動があったか
・目はどのような状態だったか
・転倒したり、頭部を打撲しなかったか
治療中の日常生活の注意
・薬はきちんと服用する(勝手に服用を中断しない)
・暴飲暴食・睡眠不足、過労を避け、生活リズムを整える
・入浴は誰か一緒に入ってもらう、声をかけてもらうなど安全を確かめるようにする
・発作の頻度や好発時間帯、どのような発作かで主治医と相談し、日常生活で何に注意するか考えましょう。
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参考リンク
○ 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス てんかん
○ 日本神経学会 神経内科の主な病気 てんかん
○ 日本てんかん学会
○ 全国てんかんセンター協議会 てんかん診療ネットワーク
○ 日本てんかん協会
初診に適した科
神経内科、脳神経外科、小児科
頼りになる病院
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