医良人コラム
18/6/29

第19回 健康ってなんだろう? 
信州メディビトネット健康七箇条 第一条⑤-1

健康七箇条の第一条『しっかり食べる』の5回目になります。

積極的にとるもの
たんぱく質
野菜果物

とりすぎに注意
塩分
太めの人の糖質と脂質
アルコール

これまで、食事において積極的に摂ると好ましいものとしてたんぱく質野菜果物の役割と必要性について解説をしてきました。

今回からは、摂りすぎ食べ過ぎに注意をするべき食材の解説に入ります。
まずはじめに『塩分』です。

日本人は、塩気が大好きですよね。
とくに内陸の長野県では、昔から保存のための塩文化が発展してきました。
「塩尻」や「塩嶺」など塩にまつわる地名も多く見られます。

その長野県の食文化をけっして否定するものではありません。
しかし、こと医学的には、「塩分は摂り過ぎない」ように注意が必要です。

いつもお伝えをしていますように、健康を守るにはなにごとにも過剰はよろしくありません。

『適正なバランス』が大切なのです。

けっして塩分を摂ってはいけない訳ではなくて、摂りすぎがよくないのです。

 


過剰な塩分が健康へ及ぼす影響と、では適正量はどのくらいなのかを知る。さらに減塩するための具体的な工夫を知っていただく。

信州メディビトネット第七条の『正 し い 知 識 を 持 っ て 、 実 践 、 継 続 す る』に当たります。

 


まず最初に、現在の日本人と長野県民の平均塩分摂取量を確認しておきましょう。

 

総数 男性 女性
全国 9.9g 10.8g   9.2g
長野県 11.8g 10.1g


                        平成28年国民健康・栄養調査報告 - 厚生労働省

長野県の塩分摂取量は男女いずれも全国平均値を上回っています。

「味は濃い」ですが、みなさま「うすうす」お気づきではなかったでしょうか?

 

これを、全国順位で見てみましょう。
なんと、男性は全国第3位女性は全国第1位とかなりの好成績?です。

さすがにこれはもう少し減塩に取り組む必要があるぞ、とお思いいただけましたでしょうか?

 


健康対策で大切なことは、第3回でご説明をしました「己を知り、敵を知る」でしたね。

現在の塩分摂取量である「己」を確認した次は、「敵」に当たる塩分の健康への悪影響を確認しましょう。

過剰な塩分にはさまざまな問題がありますが、一番は塩分の過剰摂取が「高血圧」に大きな影響を及ぼすということです。

「高血圧」は生活習慣病の代表です。

血圧が高いことによって、心臓と血管に負担がかかります。
心臓は一日およそ10万回拍動しています。血圧が高い状態がつづくと、10万回×365日×年数分、血管への負担がじょじょに積み重なっていきます。

負担がかかると血管は硬くなり動脈硬化が進行します。動脈硬化が進むと、やがて傷んだ血管は破れたり、詰まったりしやすくなります。

その結果、脳卒中心不全心筋梗塞認知症などの、さまざまな病気が引き起こされることになるのです。

ひとつの道で、すべてつながっているのです。

高血圧はとくに脳卒中、なかでも脳出血との関連影響が大きく見られます。

日本人の塩分摂取量、血圧の推移、脳卒中の発生率のグラフをそれぞれ見比べてみましょう。

                                                                  社会実情データ図録 より引用

 


                                               社会実情データ図録 より引用

                                                       国立循環器病研究センター 循環器情報サービス

 

いかがでしょうか?
1960年頃から塩分摂取量が減っているのにあわせて、血圧の値も低下、さらには脳卒中死亡率、とくに脳出血の死亡率が低下しています。

それぞれが、きれいに平行している関連性が見て取れますね。

厚生労働省の日本人の主要死因順位の年次推移記録を見ますと、
脳血管疾患(脳卒中)は1951年から1981年に悪性新生物(がん)に抜かれるまで、30年もの長い間、日本人の死因第1位でした。

50年ほど前の日本では日本北部や山間部では食塩摂取量が1日30gを超える地域もあったようですが、日本全国を挙げて減塩運動を進めたおかげで、平成28年度はがん心疾患肺炎に続いて脳卒中は死因の第4位まで減らすことができました。

 


アメリカの研究ですが、アメリカの国民が一日当たり平均3gの塩分を減らすことができると、一年間で、脳卒中患者数はおよそ3万~6万人、心筋梗塞患者数がおよそ5万~9万人減り、年間死亡数は4万~9万人も減らすことができると推測され、その結果として医療費を毎年1兆~2.5兆円も減らすことができるという試算がされています。

2010年のアメリカの平均塩分摂取推計量は9.1gです。
塩分摂取量がさらに多い日本では、より高い効果を期待することができます。

 


では、次に敵としての、減塩の目標値を確認しておきましょう。

 

 

男性

女性

厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2015年版)

 

目標量

 

推定平均必要量

 

現状摂取量(2016年度)

 

 

 

 

8g未満

 

1.5g

 

10.8g

 

 

 

7g未満

 

1.5g

 

9.2g

日本高血圧学会

高血圧対策として

 

 

6g未満

 

6g未満

WHO(世界保健機関)

 

5g未満

5g未満

この表を見ていただきますと、厚生労働省は人間は一日あたり1.5gの塩分があればよいけれど、実際には日本人は10gほど摂っている。
さらに、高血圧対策や世界基準では塩分の摂取目標値は5~6g未満だが、いきなり高い目標値を掲げても達成困難なため、男女とも現状より2gずつ低い値を現実的な目標値として掲げている。

と読み取ることができます。

〇〇gと言われても、具体的にはイメージができずにピンと来ない方も多いと思います。

わかりやすくざっくりとですが、最終的には『現在の塩分摂取量の半分にしましょう』
と言うことになります。

一方で、バランスが大切と言っているのに、そんなに減らして本当に大丈夫?

という疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。

実際に、南米やアフリカ、オーストラリアの先住民、ニューギニア高地人などの中には、生活環境に塩分の摂取源が少ないため、一日1g未満の塩分量で生活をしている地域があるそうです。

そして、それらの地域には高血圧の人はほとんどいないという調査報告があります。

いやいや、それらの塩分が少ない国の人が、いくら高血圧の人が少ないからと言っても、実際に長生きで健康なのか?という追加の疑問がわくことでしょう。

そのとおりです。人間は塩分や血圧だけが健康に関与しているわけではありません。それこそさまざまな要素のバランスが大切です。

当然、塩分も体に必要な成分です。
ご存知のように、塩は科学的にはナトリウム(Na)とクロール(Cl)の化合物ですが、低ナトリウム血症になると、食欲低下やひどい時には意識障害や痙攣などをひき起こすことがあります。

私も、入院患者さんで塩分濃度の少ない点滴をしている方や、在宅医療の胃ろう栄養で、塩分濃度の少ない栄養剤だけで生活をしている患者さんが、容易に低ナトリウム血症になることを経験しています。

成分表で計算をして、塩分が一日あたり1.5g以上入っているようにしていても、低ナトリウム血症が引き起こされることがあります。
やはり、人間一律ではないのです。

ここは少し緩衝としてゆとりを持たせて考える必要がありそうですので、私は一日の塩分摂取目標量は3g~6gあたりになるのかなと考えています。

さて、ここまで塩分の現状と害、そして減塩目標値をお示ししました。

次回は、塩分と血圧の関係。それが体におよぼす影響についてもう少し詳しく見ていきます。

まとめ

長野県の塩分摂取量はおよそ11g、男性全国第3位、女性全国第1位

塩分過剰⇒高血圧⇒動脈硬化⇒脳卒中、心筋梗塞、認知症などへと道がつながっている

塩分を減らすと、多くの病気が減って、医療経済効果も高い

若いうちから塩分を減らすと、年をとった時の動脈硬化の予防効果が大きい

一日の塩分摂取目標量は3g~6g ⇒ かんたんな目安は、今の半分!!

 

 

信 州 メ デ ィ ビ ト ネ ッ ト 健 康 七 箇 条 
一 . し っ か り 食 べ る 
二 . 楽 し く 運動 を 継 続 す る 
三 . 自 分 の 体 を 大 切 に す る 
四 . 予 防 で き る も の は 予 防 す る 
五 . 医 療 関 係 者 の 相 談 相 手 を 持 つ 
六 . 明 る く 楽 し く 暮 ら す 
七 . 正 し い 知 識 を 持 っ て 、 実 践 、 継 続 す る

参考リンク

日本人の食事摂取基準 厚生労働省
国民健康・栄養調査 平成28年 厚生労働省
食生活指針 文部科学省、厚生労働省、農林水産省
日本高血圧学会 減塩委員会

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