医良人コラム
18/5/2

第17回 健康ってなんだろう? 
信州メディビトネット健康七箇条 第一条④

健康七箇条の第一条『しっかり食べる』を引き続き解説いたします。

積極的にとるもの
たんぱく質
野菜、果物

とりすぎに注意
塩分
太めの人の糖質と脂質
アルコール

でしたね。

 


今回は前回の第11回野菜に続いて、積極的に摂りたい果物についての解説です。

いきなり余談ですが、私は以前「将来の夢は?」と聞かれて「南の島でフルーツに囲まれて暮らすこと」と答えたことがあるほど果物が好きです。

そんな愛すべき果物のはずですが、残念なことに現代の日本人は果物の摂取量が極端に少ないのです。

まず最初に日本人の果物の摂取量を見てみましょう。

 

                      果物と健康 六訂版 より引用

30歳代は極端に少ないですね。
全体の平均でも100gに足りない数値です。

この100gと言う数字がひとつの目安になりますので、覚えておいてください。

 


さて、その次は日本での果物の一日摂取目標量です。

健康日本21(第二次 平成25年)では「野菜と果物の摂取量の増加」を目標に掲げています。

具体的には「果物摂取量一日あたり100g未満の者の割合を平成22年の61.4%から平成34年には30%まで減らす」

ことが目標になっています。

 


野菜摂取量はみんなが「1日350g以上食べましょう」というわかりやすい目標でしたが、
果物は100g以上食べる人の割合を全体の70%以上にしましょうという二つの数字を組み合わせた目標になっています。

糖尿病や肥満、アレルギーなど諸事情でたくさん食べられない方がいるからこのような目標になっているのかもしれませんね。

 


あらためて先ほどの図1を見てみますと、全人口の平均果物の摂取量は98.9gと100gに近いのですが、20歳代~40歳代はさらにその半分程度です。

 


どうしてこんなに少ないのでしょう?

調べてみますと、果物を食べない主な理由として

• 近くに買えるお店がない
• 日持ちがしない
• 値段が高い
• 必需品と思っていない
• 皮をむいたり食べるまでと片付けが面倒
• カロリーが高く、太るイメージがある

などが理由のようです。

 


でもよく考えてみると、
美味しくて、健康に良いのであれば、上にあがっているものは食べない本当の理由にはならないですよね。

 


果物は前回の野菜と同じく健康に良くて積極的に摂っていただきたい食品の代表です。

ビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどのファイトケミカルのような私たち動物の体内では作ることのできない栄養素までたくさん含まれています。

 


病気を予防する効果もわかっています。

がん

摂取量が少ないと口腔・咽頭・喉頭がんと肺がんに「ほぼ確実」にがんになりやすくなることが分かっています。

動脈硬化

日本動脈硬化学会の「動脈硬化症疾患予防ガイドライン2017」では、狭心症や心筋梗塞および脳卒中の危険性を低減させる可能性があることから、果物の適度な摂取を強く推奨しています。

ペクチンなどの食物繊維がコレステロールや糖分の吸収速度を抑えてくれます。

高血圧

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」でも果物の摂取を薦めています。

果物に多く含まれるカリウムがナトリウム(塩分)の排泄を助けて血圧を下げる効果があります。
腎機能障害患者さんはカリウムの過剰摂取には注意が必要です。

2型糖尿病

日本糖尿病学会では、糖尿病患者さんに1日1単位(80キロカロリー、みかんなら2個程度)の果物の摂取を薦めています。

 

ここで果物に含まれる「果糖」について一度確認をしておきましょう。

果物に含まれる糖分は果糖(フルクトース)が主ですが、その他にショ糖やブドウ糖、ソルビトールなども含まれています。

果糖はブドウ糖とは異なり血糖値をあまり上げないことが特徴です。
変わりに肝臓に運ばれてすぐに中性脂肪となり、エネルギー源として利用されます。

ブドウ糖も血糖としてエネルギー消費をされずに余った分は、グリコーゲンや中性脂肪に変換されて貯えられます。

果糖もブドウ糖も糖類は1gあたり4キロカロリーで同じエネルギー量です。

まとめますと、果物を食べると、同じカロリー量でも血糖は上がりづらいけれど、余った分のエネルギーはブドウ糖と同じく中性脂肪に変換される

この基本事項を押さえておくと理解がしやすくなります。

 


まず、糖尿病の方には、血糖を上げづらいので一日の摂取カロリーが適正な範囲内であれば果物を80キロカロリーを目安にとった方がよいといえます。

80キロカロリーの目安はメロンは200g、キウイは150g、バナナは100g、温州みかんは200g、りんごは150gとなります。

肥満、中性脂肪が高い方

果物を食べない主な理由に「カロリーが高く、太るイメージがある」とありましたが、これはまったくの誤解です。

すでに太っている方や中性脂肪が高い方、ふだんから食べすぎの方だけは注意が必要というお話です。

持病がなくて、全体の摂取カロリーが適正に取ることができている方では中性脂肪はエネルギーとして利用されてしまいます。

 


医良人コラム 第6回 健康七箇条…の前の確認作業 後編

の回にご説明をさせていただきましたが、個人には「差」と言うものがあります。
体格や持病の有無で状況やとるべき行動が異なるのは当然といえます。

一律に、○○がよい、××が悪いという言葉を取り入れる前に、「自分にとってはどうなのだろう、必要な情報なのだろうか?」と一度立ち止まって判断することが大切です。

 


ちなみに、カロリーだけの比較であれば、同じ「スイーツ」で比較してみましょう。

 

                       果物と健康 六訂版 より引用 

 


果物は水分の割合が多く、お菓子類のようにエネルギー比率の高い脂質がほとんど含まれていません。

果物は平均でも100g当たりエネルギーは50キロカロリー程度ととても低カロリーなスイーツといえます。

同じ量のショートケーキの7分の1程度のカロリーです。
果物に含まれる食物繊維は満腹感を感じやすく、他の食品の食べ過ぎを抑えることができるため、果物をスイーツやデザートの中心にするとダイエットにもなります。

※繰り返しになりますが、全体のカロリー量が適正に納められているということが前提です。果物をたくさん摂った分は代わりに他の炭水化物などのカロリーを減らすなどの配慮が必要になります。

その他に果物の摂取で気をつけたい点

冷え症の方
利尿効果がある
高尿酸血症・痛風ガイドラインに患者さんは果物の摂りすぎに注意と記載があります。(ふつうの量は問題ないということです)

しかし、これらは持病と食べる量、タイミングなど、個別に判断すれば済むことばかりですね。

その他の果物の効果

• 糖分やビタミン、ミネラルの補給による疲労回復効果、免疫力アップ、骨粗しょう症予防
• 食物繊維の摂取による便秘対策、美容効果など
• ポリフェノールの動脈硬化予防、抗がん作用、認知症予防効果
• 香り、酸味、清涼感などの五感の刺激による脳の活性化、満足感、幸福感

などの多くのメリットがあります。

さて、ここで、再び果物摂取の目標量に話を戻します。
健康日本21(第二次 平成25年)で「果物摂取量一日あたり100g未満の者の割合を30%以下に減らす」、ことが目標として掲げられています。

そのためここでも最低減の目標値として100gと言う数字をあげていましたが、実は100gではぜんぜん少ないのです。

食事バランスガイド(農林水産省・厚生労働省)では1人1日200gの果物(可食部)を摂るように薦められています。

また、日本人の果物摂取量は海外に比べてもかなり少ないのです。

少し古いデータですが2009年の国連食糧農業機関(FAO)の統計では、日本人1人あたりの年間果物摂取量は176カ国中127位でした。

                       果物と健康 五訂版 より引用

ヨーロッパの国々では日本の2~3倍の果物が食べられています。

木々の緑が多い日本ですが、果物摂取量は世界の標準をはるかに下回っていることがお分かりいただけると思います。

この年の世界の平均果物摂取量がちょうど200gです。

こういった背景から、食事指針を作成している大半の国では、果物の摂取目標量は1日当たり200〜300gとしている国が多いようです。

 


前回、日本人の野菜の摂取量が年々減っていることをお伝えいたしました。

果物の摂取量も過去と比較してみましょう。

 

 

 

いかがでしょうか?

1975年(昭和50年)頃には日本でも全国民の平均で200g近くを食べていたのです。
それが年々減少をして100g前後まで減ってしまっています。

スーパーで買うことのできる果物の種類はどんどん増えている一方で、私たちの食べる果物の量は減っているのです。

 


健康日本21(第二次)では果物摂取量100gを目標値としていますが、食事バランスガイドや、世界との比較、過去の日本のデータをあわせて考えてみると、本当のところは一日あたり200gを目標値とするのが妥当なところだといえるでしょう。

 


さて、それでは果物の200gはどの位なのでしょうか?

 

                   果物と健康 六訂版 より引用 


上の表を見てみると200gなんてそんなに多くないな~と思いませんか?

一種類で摂る必要もないので、いくつかの種類を組み合わせるとぞれぞれもっと少量ずつになります。

さらに野菜の時にもご説明をしましたが、全部を一度にまとめてとる必要はまったくありません

朝にバナナを1本食べて、昼にみかんを1個食べる。

すぐに達成できそうですよね。

 


先ほどお伝えしましたように果物のカロリーは100gあたりおよそ50キロカロリーですので、200g食べても100キロカロリー程度にしかなりません。

他のスイーツとの比較の表や、ご飯軽く1杯(140g)約235キロカロリー、ビール500ml(中ジョッキ1杯)約200キロカロリーなどと比べてみても、果物のカロリー量は少ない方だと言えます。

 


もう一度、果物を食べない主な理由を確認してみます。

• 近くに買えるお店がない
• 日持ちがしない
• 値段が高い
• 必需品と思っていない
• 皮をむいたり食べるまでと片付けが面倒
• カロリーが高く、太るイメージがある

カロリーも高くなくて美味しくて、さらに健康によい有益な「食品」であると言うことを、あらためてご理解をいただければもう食べない理由はどれもなくなりましたね!

― 果物と野菜のちがい ―

果物と野菜はどちらも植物です。
しかし、「果物=野菜」ではありません。
野菜の代わりに果物だけを食べる、というわけにはいかないないのです。

両方とも、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの供給源となりますがそれらの種類が異なります。
ですので、一日あたり野菜は350g、果物は200gを目標にそれぞれを摂取しましょう。

 


― 果物&野菜ジュース ―

前回も書きましたが、一人暮らしなどの理由でじゅうぶんに果物や野菜を摂ることが難しい際には、ジュースとなっている製品を取り入れてみることもよいでしょう。

果物ジュースや青汁も含めた野菜ジュースはたくさんの商品が発売されています。

選ぶ際に気をつける点は、糖分や塩分を添加して調整していることがありますので、商品の成分表をご覧になって、カロリー量や塩分量を比べてみてください。

「食事バランスガイド」では果汁100%ジュースは飲んだ量の半分量の「果物」として取り扱っています。

しかし、果汁100%ジュースを倍量飲めばよいのではなくて、ジュースはあくまでも補完と考えてください。

また、野菜ジュースや果物のジュースは消化吸収されやすい形になっていますので、血糖値の急上昇も起こりやすくなっており、糖尿病の方は取りすぎに注意が必要です。スムージーなども同じですので気をつけてください。

また、ジャム、ドライフルーツ、シロップ漬けの缶詰などの果物の加工品は、濃縮されていたり、糖分が添加されているものもあります。同じ重さあたりのカロリー量が加工前の果物よりも増えているものが多いため摂りすぎに注意が必要です。

 

まとめ

• 果物は健康によい有益な食品
• 果物の摂取量は年々減少している

• 日本人の果物摂取量は世界でも最低クラス
• 果物の一日の目標摂取量は200g
• 果物のカロリー量は少なく、適切であれば太る心配はない
• 不足分を野菜&果物ジュースで補完してもよいけれどカロリーに注意


「一日一個のリンゴで医者いらず」
「柿が赤くなると医者が青くなる」

など世界中には、私たち医療者を脅かす果物の健康への益を示すことわざがたくさんあります。

子どもたちの食習慣は家庭環境に左右されます。
ぜひ子ども達の未来のためにも、たくさんの果物をふだんの食生活にとり入れてください。

信 州 メ デ ィ ビ ト ネ ッ ト 健 康 七 箇 条 
一 . し っ か り 食 べ る 
二 . 楽 し く 運動 を 継 続 す る 
三 . 自 分 の 体 を 大 切 に す る 
四 . 予 防 で き る も の は 予 防 す る 
五 . 医 療 関 係 者 の 相 談 相 手 を 持 つ 
六 . 明 る く 楽 し く 暮 ら す 
七 . 正 し い 知 識 を 持 っ て 、 実 践 、 継 続 す る

参考リンク

FACT BOOK 果物と健康 六訂版 うるおいのある食生活推進協議会
国民健康・栄養調査 平成28年 厚生労働省
健康日本21 (二次) 厚生労働省
食事バランスガイド 厚生労働省、農林水産省

健康ってなんだろう? 信州メディビトネット健康七箇条

健康七箇条…の前の確認作業 前編

健康七箇条…の前の確認作業 中編

健康七箇条…の前の確認作業 後編 

健康ってなんだろう? 信州メディビトネット健康七箇条 第一条①

健康ってなんだろう? 信州メディビトネット健康七箇条 第一条② 

健康ってなんだろう? 信州メディビトネット健康七箇条 第一条③ 

健康ってなんだろう? 信州メディビトネット健康七箇条 第一条④ (今回)